子宮内膜症に対するPelvic sidewall dissection

子宮内膜症の手術は、可能な限り子宮内膜症病巣を切除することです。子宮内膜症病巣は単に癒着剥離したり、電気やレーザーで焼灼しただけでは早期に再発してしまいます。ここでは骨盤腹膜(とくに骨盤側壁)の子宮内膜症病巣の切除を供覧します。

腹腔内の所見

月経痛と慢性骨盤痛(左腰痛〜左下肢痛)が強く腹腔鏡下手術を施行。
左卵巣チョコレート嚢胞(約6cm大)が左骨盤壁に強く癒着、直腸も
つり上がり癒着していた。re-ASRM 50点

卵巣と骨盤壁の強い癒着を剥離

卵巣窩の腹膜に深部病巣をみとめた。

骨盤入口面から尿管の走行を確認し腹膜の子宮内膜症病巣を切除

 


腹膜病巣を尿管から剥離し切除


側臍靱帯〜子宮動脈、尿管周囲の子宮内膜症を切除


子宮動脈〜尿管周囲の子宮内膜症を切除したところ

直腸〜仙骨子宮靭帯周囲の子宮内膜症はまだ切除されていない。

直腸表面の子宮内膜症病巣を切除

中直腸動脈に注意しながら直腸表面の子宮内膜症を針状のモノポーラで切除

直腸表面の縫合

直腸表面の漿膜欠損部を3-0PDSIIにて縫合

手術終了時

卵巣嚢腫を体内法にて核出して終了
手術時間 240分
術中出血量 50g

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子宮内膜症に対するPelvic sidewall dissectioon

卵巣チョコレート嚢胞が骨盤壁に癒着している場合、強い骨盤痛や月経痛の原因になります。このときチョコレート嚢胞のみを核出していても骨盤痛の治療としては不十分であり、卵巣〜腹膜の子宮内膜症病巣をできるだけ切除することが必要です。

上に述べたように尿管、子宮動脈、内腸骨動脈、側臍靱帯、閉鎖神経、浅子宮静脈、中直腸動脈などに注意して腹膜〜深部の子宮内膜症病巣を切除します。顕微鏡下で行うような細かな操作を心がける必要があります。

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